header

宮城県復興応援ブログ ココロプレス

「ココロプレス」では、全国からいただいたご支援への感謝と東日本大震災の風化防止のため、宮城の復興の様子や地域の取り組みを随時発信しています。 ぜひご覧ください。

ヘッダー写真説明文

写真 「19年連続 生鮮カツオ水揚げ日本一」に向けて、気仙沼では生鮮カツオ水揚げが順調です。「今年はとりわけ脂が乗っている」と関係者の表情もほころんでいます。
2015.7 ~宮城県震災復興推進課~
2012年12月23日日曜日

2012年12月23日日曜日12:58
こんにちは、けいこです。

12月7日、金曜日。
宮城がまた大きな揺れに襲われたこの日。
沿岸部で活動している、取材でお世話になった方々がとても心配になりました。

今回お伺いしたボランティア団体「おもいでかえる」も、大きな被害のあった仙台市の沿岸部、荒浜で活動をしている団体の1つです。
昨年12月から活動を続け、がれきの中から見つけた写真や思い出の品々を洗浄し、持ち主の元へ返却しています。

この日お話を伺ったのは、副代表の千葉香織さん。
千葉さんは、荒浜出身。
震災後、いろんなものが無くなってしまった風景を見て、この場所を守りたいという気持ちになったと言います。
いまだ津波の爪痕が残り、災害危険区域にも指定されている場所。
それでも荒浜で活動を続けることへの思いを伺いました。

「ボランティアに来てもらった方になるべく被災地を身近に感じてほしいと思っていたので、この場所で活動をしています。希望する方には、作業が終わった後に被災地や慰霊碑に案内しています。実際に被災地を目にすることで、この活動の意義を感じてもらえているようです」


もともとは剣道場だった活動拠点。
この日は23名のボランティアの方が来ていました。










手に取る写真1枚1枚は、誰かの大切な思い出。
そんな写真を見て、触れて、洗浄する時はどんな気持ちなのでしょうか。

「お子様の成長記録や結婚式、家族の大切な思い出を写したものが多いですね。これから生活の再建が進む中で、もしこれらの写真が手元に戻れば少しでもその方の心の支えになるんじゃないかな、という思いでいます」


おもいでかえるには、その活動を支えるたくさんのボランティアがいます。
これまで来たボランティアの数は3,000人を超え、頻繁に足を運ぶ方もいるそうです。
常連となったボランティアの方たちの作業のレベルはどんどんアップしているとか。
思い出をよみがえらせる職人とも言ってもいいかもしれません。

気候条件などに左右されるものの、1冊のアルバムの修復にかかる時間はおよそ3週間。
1つ1つのきめ細やかな作業によって進められます。

写真洗浄の最初の工程。
写真を1枚ずつアルバムからはがしていきます。
写真に添えられたコメントやチケットも大切な資料です。














千葉さんはいつも、初めてボランティアに来た方へ向けて、「心に留めてもらいたいこと」を話されているそうです。

「単純に写真洗浄の説明だけではなく、仙台市の被災状況や、仮設住宅の問題について、そして“何のために私たちの活動があるのか”ということも話をしています。それと、ここにあるアルバムは本当に奇跡的に拾われたということ、持ち主にとってはとても大切なものだということは分かっていただいた上で写真と向き合ってほしいと思います」

被災地の現状を、被害の大きかった荒浜で聞く。
被災者の気持ちを想像してほしいと言う千葉さんの声は、きっとボランティアの心に大きく響いていると思います。

そんな千葉さんの気持ちを受け、ボランティアの方はどんな思いで作業に当たっているのでしょうか。

-----

震災後に会社が設けた「ボランティア休暇」を利用して、東京から参加した鈴木麻友さん。
今回が初めての参加です。

「被災地を知るいい機会だと思って参加しました。写真は大勢で写っているものが多いですね。作業をしながら、この写真に写っている方は、今どうしてるんだろう、住み慣れた町を離れなきゃいけないのはつらいだろうな、と想像しながら作業をしています」

東京から来た新規ボランティアの鈴木麻友さん(右)。

鈴木さんは震災後、防災意識が高くなったそうです。
被災地で生活をしている子どもたちの生活も心配です、とも話をしてくれました。
遠方でもこうして被災地を思ってくれているのはとても心強く感じます。

「自分にできることを通してこれからも震災について考えていきたいです。防災の意識を持つことが、何かの形で被災地の方への役に立てばいいなと思います」


常連の加藤さん。
慣れた手付きで作業をしていました。
今年の7月からこの活動を始めているという加藤智則さん。

「大事な写真はお金では買えるものじゃないですからね。泥んこになってしまってかわいそうになぁと思ってしまいます。この写真に出会える人はきっと喜んでくれるんじゃないかな。だからいつも、できるだけ丁寧にと思って作業しています」

加藤さんは、全国から毎日集まるボランティア同士での交流も楽しいと言います。
この日も休憩中にはボランティアの方同士の楽しそうな声が聞こえてきました。

「私の友人にも家が流されたり、家族が亡くなったという方がいます。そういう方には、1日も早く傷心から立ち直ってほしいという思いでいっぱいです。修復した写真を見て、笑顔になってくれる方がいたら本当にうれしいです」

-----

写真の修復にとって大事なことは、カビとバクテリアの繁殖を抑えること
それには乾燥させることが不可欠です。
あまりに損傷がひどいと手に取るだけでインクが落ちてしまうため、触ることもできません。
このような写真は慎重に扱われます。

損傷がひどく、洗浄できない写真。
しかし、昔のモノクロ写真はきれいに残っているものが
多くあります。
表面の着色層がポロポロとはがれ落ちてくる
ものは、1枚1枚ラミネートします。











しかし、アルバムを開くのが怖い、見ることができないという方も多く、濡れたままのアルバムをそのまま保管している人もいるとか。
震災前の思い出を見ることをためらってしまうのだそうです。
被災した人々の心は、復興へ向けてまだ一歩も進めていないのかもしれません。


卒業者名簿の台帳を縫い合わせているところ。
職人の技が光ります。
賞状やランドセルの洗浄も行います。
この日は賞状の修復に表具店の方々が
手伝いに来ていらっしゃいました。



今年の3月末から活動を続け、おもいでかえるの元に集まった写真の数は50万枚以上。
その内まだ洗浄されていないものが35万枚。
そして、洗い終えたものは4万枚だそうです。

千葉さんは、まだまだ圧倒的に数が足りないと口にしますが、それだけの思い出を託され、修復に力を尽くすこの活動は被災者の気持ちを支える大きな意味を持った活動だと思いました。


みなさんの大切な思い出がよみがえりますように。
おもいでかえる副代表・千葉香織さん

「被災した方が生活を再建できる頃までは活動を続けたいですね。その頃にはきっと、被災者の方も思い出を振り返られるようになっているのではないでしょうか。それまで何年かかるかはわかりませんが、1枚1枚丁寧に作業を続けていきたいと思います」

被災者の方がいつでも写真を探せるような環境を作りたい。
いまだ濡れたままの写真をどんどん修復したい。

小学校で講演を行ったり、同じく写真洗浄を行う団体との交流などを通し、千葉さんの活動、そしておもいでかえるの活動はこれからもどんどん続いていきそうです。

来年には洗浄した写真の展示会も予定されています。

おもいでかえるのメンバーの手によってよみがえったたくさんの写真が持ち主の手に戻り、これからの生活の大きな糧になることを願っています。

おもいでかえるHP : http://www.omoide-kaeru.com/



(取材日 平成24年12月7日)